雇用統計の結果

■非農業部門雇用者数

4月7日に発表された3月の非農業部門雇用者数は予想にほぼ一致する23.6万人でした。

(出典:労働省労働統計局)

これは過去1年では最も弱い数字ですが、それでも23.6万人も雇用が増えているということは立派な数字だと言えます。

■失業率

3月の失業率は3.5%でした。

(出典:労働省労働統計局)

こちらの数字も歴史的に低水準であり、現在の米国経済は好況だという判断が適切です。

■平均時給

3月の平均時給は9¢の上昇でした。

(出典:労働省労働統計局)

新型コロナ後の経済再開局面では高い賃金上昇が定着していましたが、ここ数ヶ月はそれがやや沈静化しはじめている印象を与えます。

■次の一手

連邦準備制度理事会(FRB)はインフレの息の根を止める目的で過去1年以上矢継ぎ早の利上げを繰り返してきました。

ようやくその努力が実を結び、物価や賃金は沈静化の様相を見せています。

次の連邦公開市場委員会(FOMC)は5月3日ですが、そこでもう一度、0.25%という小幅の利上げをした後、FRBは利上げの手を止め、フェデラルファンズ・レートを5.00~5.25%のレンジで当分の間固定すると予想されます。

■投資戦略

今回の1年以上に渡るFRBの利上げは、現役のファンドマネージャーが誰も経験したことが無いような急激な利上げでした。

このため「利上げ打ち止め!」ということが宣言されるだけで市場参加者はホッと安堵すると予想されます。言い直せば株式にとって最も苦しい時期はそろそろ終わりを迎えるということです。

したがって今の局面で株式に対して弱気になるというのは大局観からして間違った戦略だと思います。株式にはポジティブな態度を堅持すべきです。

それを断った上で11月から4月にかけての、1年の中で経験則的に株価が上昇しやすい半年間がそろそろ終わろうとしているので、5月以降の見通しに関してはポジティブな中にも兜の緒を締める態度で臨むべきだと考えます。

「売り」から入って取れるほどマーケットは下がらないと思いますが、新規のポジションの買い建てはだんだん控えた方が良い気がします。